教育の枠組み

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1)継続教育における研修の位置づけ

日本看護協会は、「看護の将来ビジョン」達成に向けて、看護の質保証を目的とした看護職のキャリアに応じた継続教育を実施している。それを実現するための具体的な戦略として、下記のように研修を構成している。

  1. 「生活」と保健・医療・福祉をつなぐ質の高い看護の普及に向けた継続教育
  2. ラダーと連動した継続教育
  3. 看護管理者が地域包括ケアシステムを推進するための力量形成に向けた継続教育
  4. 専門能力開発を支援する教育体制の充実に向けた継続教育
  5. 資格認定教育

そこで、和歌山県看護協会で行う継続教育についても、日本看護協会が提示している5つの分類で提示する。

研修分類

  分類 内容
1 「生活」と保健・医療・福祉をつなぐ質の高い看護の普及に向けた継続教育 1)新たな社会ニーズに対応する能力支援のための研修
2)政策提言に向けた研修
3)診療報酬に関連した研修
2 ラダーと連動した継続教育 1)「助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)」(CLoCMiP®)
2)「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」(JNAラダー)
3 看護管理者が地域包括ケアシステムを推進するための力量形成に向けた継続教育 1)看護管理者を対象とした研修
2)認定看護管理者を対象とした研修
3)これからの看護管理者を担う人々を対象とした研修
4 専門能力開発を支援する教育体制の充実に向けた継続教育 1)施設内教育におけるJNAラダー活用のための研修
2)都道府県看護協会の教育担当者・教育委員対象研修
5 資格認定教育 1)認定看護管理者教育課程
2)認定看護師教育課程
※2022年度日本看護協会教育計画より抜粋

2)看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)の活用

あらゆる場の全ての看護師に共通する看護実践能力について、<ニーズをとらえる力><ケアする力><協働する力><意思決定する力>の4つの力で構成されている。「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」(JNAラダー)に基づく研修においては、この指標を用いて、それぞれの看護師が自らの習熟段階と対比させ、自身が学ぶべき学習内容を含んだ研修を選択できるように提示している。

JNAラダーでは、各レベルの到達目標(レベル毎の定義)が達成された段階で、そのレベルに到達したと考える。

そのため、レベルⅠの到達目標が達成されるまでの看護師はレベルⅠの前段階、レベルⅠの到達目標を全て達成した看護師を「レベルⅠの看護師(レベルⅡ到達を目指す看護師)」と考える。

※2019年度日本看護協会教育計画より抜粋

看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)レベル毎の定義

レベル 定義
基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する
標準的な看護計画に基づき自立して看護を実践する
ケアの受け手に合う個別的な看護を実践する
幅広い視野で予測的判断をもち看護を実践する
より複雑な状況において、ケアの受け手にとっての最適な手段を選択し、QOLを高めるための看護を実践する
※公益社団法人日本看護協会「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」より抜粋

※「ラダーと連動した継続教育」については、学習段階(ラダーレベル)を設定しています。
※新人を育成する教育は、免許取得後1年未満を対象としています。
※新人を育成する教育以外の研修では、看護職それぞれが、自身で学ぶべき研修を選択できるようにラダーレベルを表示しています。
※日本看護協会の示しているラダーレベルとは、記載しているレベルを目指す人です。

 

※「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」活用の手引きより抜粋、一部改変

※それぞれの研修について、看護実践能力の4つの力は密接に関連しており、ひとつの力を強化するものではない。
しかし、今年度の教育計画には主となる実践能力のみを記載しています。

 

看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)

看護の核となる実践能力:看護師が論理的な思考と正確な看護技術を基盤に、ケアの受け手のニーズに応じた看護を臨地で実践する能力

詳細は下記よりご覧ください。

レベルⅠ
基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する

看護の核となる実践能力
ニーズをとらえる力 レベル毎の目標 助言を得てケアの受け手や状況(場)のニーズをとらえる
行動目標 □助言を受けながらケアの受け手に必要な身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな側面から必要な情報収集ができる
□ケアの受け手の状況から緊急度をとらえることができる
ケアする力 レベル毎の目標 助言を得ながら、安全な看護を実践する
行動目標 □指導を受けながら看護手順に沿ったケアが実施できる
□指導を受けながら、ケアの受け手に基本的援助ができる
□看護手順やガイドラインに沿って、基本的な看護技術を用いて看護援助ができる
協働する力 レベル毎の目標 関係者と情報共有ができる
行動目標 □助言を受けながらケアの受け手を看護していくために必要な情報が何かを考え、その情報を関係者と共有することができる
□助言を受けながらチームの一員としての役割を理解できる
□助言を受けながらケアに必要と判断した情報を関係者から収集することができる
□ケアの受け手を取り巻く関係者の多様な価値観を理解できる
□連絡・報告・相談ができる
意思決定を支える力 レベル毎の目標 ケアの受け手や周囲の人々の意向を知る
行動目標 □助言を受けながらケアの受け手や周囲の人々の思いや考え、希望を知ることができる

レベルⅡ
標準的な看護計画に基づき自立して看護を実践する

看護の核となる実践能力
ニーズをとらえる力 レベル毎の目標 ケアの受け手や状況(場)のニーズを自らとらえる
行動目標 □自立してケアの受け手に必要な身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな側面から必要な情報収集ができる
□得られた情報をもとに、ケアの受け手の全体像としての課題をとらえることができる
ケアする力 レベル毎の目標 ケアの受け手や状況(場)に応じた看護を実践する
行動目標 □ケアの受け手の個別性を考慮しつつ標準的な看護計画に基づきケアを実践できる
□ケアの受け手に対してケアを実践する際に必要な情報を得ることができる
□ケアの受け手の状況に応じた援助ができる
協働する力 レベル毎の目標 看護の展開に必要な関係者を特定し、情報交換ができる
行動目標 □ケアの受け手を取り巻く関係者の立場や役割の違いを理解したうえで、それぞれと積極的に情報交換ができる
□関係者と密にコミュニケーションを取ることができる
□看護の展開に必要な関係者を特定できる
□看護の方向性や関係者の状況を把握し、情報交換できる
意思決定を支える力 レベル毎の目標 ケアの受け手や周囲の人々の意向を看護に活かすことができる
行動目標 □ケアの受け手や周囲の人々の思いや考え、希望を意図的に確認することができる
□確認した思いや考え、希望をケアに関連づけることができる

レベルⅢ
ケアの受け手に合う個別的な看護を実践する

看護の核となる実践能力
ニーズをとらえる力 レベル毎の目標 ケアの受け手や状況(場)の特性をふまえたニーズをとらえる
行動目標 □ケアの受け手に必要な身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな側面から個別性を踏まえ必要な情報収集ができる
□得られた情報から優先度の高いニーズをとらえることができる
ケアする力 レベル毎の目標 ケアの受け手や状況(場)の特性を踏まえた看護を実践する
行動目標 □ケアの受け手の個別性に合わせて、適切なケアを実践できる
□ケアの受け手の顕在的、潜在的ニーズを察知しケアの方法に工夫ができる
□ケアの受け手の個別性をとらえ、看護実践に反映できる
協働する力 レベル毎の目標 ケアの受け手やその関係者、多職種と連携ができる
行動目標 □ケアの受け手の個別的なニーズに対応するために、その関係者と協力し合いながら多職種連携を進めていくことができる
□ケアの受け手とケアについて意見交換できる
□積極的に多職種に働きかけ、協力を求めることができる
意思決定を支える力 レベル毎の目標 ケアの受け手や周囲の人々に意思決定に必要な情報提供や場の設定ができる
行動目標 □ケアの受け手や周囲の人々の意思決定に必要な情報を提供できる
□ケアの受け手や周囲の人々の意向の違いが理解できる
□ケアの受け手や周囲の人々の意向の違いを多職種に代弁できる

レベルⅣ
幅広い視野で予測的判断をもち看護を実践する

看護の核となる実践能力
ニーズをとらえる力 レベル毎の目標 ケアの受け手や状況(場)を統合しニーズをとらえる
行動目標 □予測的な状況判断のもと身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな側面から必要な情報収集ができる
□意図的に収集した情報を統合し、ニーズをとらえることができる
ケアする力 レベル毎の目標 様々な技術を選択・応用し看護を実践する
行動目標 □ケアの受け手の顕在的・潜在的なニーズに応えるため、幅広い選択肢の中から適切なケアを実践できる
□幅広い視野でケアの受け手をとらえ、起こりうる課題や問題に対して予測的および予防的に看護実践ができる
協働する力 レベル毎の目標 ケアの受け手を取り巻く多職種の力を調整し連携できる
行動目標 □ケアの受け手がおかれている状況(場)を広くとらえ、結果を予測しながら多職種連携の必要性を見極め、主体的に多職種と協力し合うことができる
□多職種間の連携が機能するように調節できる
□多職種の活力を維持・向上させる関わりができる
意思決定を支える力 レベル毎の目標 ケアの受け手や周囲の人々の意思決定に伴うゆらぎを共有でき、選択を尊重できる
行動目標 □ケアの受け手や周囲の人々の意思決定プロセスに看護職の立場で参加し、適切な看護ケアを実践できる

レベルⅤ
より複雑な状況において、ケアの受け手にとっての最適な手段を選択しQOLを高めるための看護を実践する

看護の核となる実践能力
ニーズをとらえる力 レベル毎の目標 ケアの受け手や状況(場)の関連や意味をふまえニーズをとらえる
行動目標 □複雑な状況を把握し、ケアの受け手を取り巻く多様な状況やニーズの情報収集ができる
□ケアの受け手や周囲の人々の価値観に応じた判断ができる
ケアする力 レベル毎の目標 最新の知見を取り入れた創造的な看護を実践する
行動目標 □ケアの受け手の複雑なニーズに対応するためあらゆる知見(看護および看護以外の分野)を動員し、ケアを実践・評価・追求できる
□複雑な問題をアセスメントし、最適な看護を選択できる
協働する力 レベル毎の目標 ケアの受け手の複雑なニーズに対応できるように、多職種の力を引き出し連携に活かす
行動目標 □複雑な状況(場)の中で見えにくくなっているケアの受け手のニーズに適切に対応するために、自律的な判断のもと関係者に積極的に働きかけることができる
□多職種連携が十分に機能するよう、その調整的役割を担うことができる
□関係者、多職種間の中心的役割を担うことができる
□目標に向かって多職種の活力を引き出すことができる
意思決定を支える力 レベル毎の目標 複雑な意思決定プロセスにおいて、多職種も含めた調整的役割を担うことができる
行動目標 □適切な資源を積極的に活用し、ケアの受け手や周囲の人々の意思決定プロセスを支援できる
□法的および文化的配慮など多方面からケアの受け手や周囲の人々を擁護した意思決定プロセスを支援できる